1999年12月5日 東京ドーム  K−1


何もすることがない日曜日。家でグワグワしていた ら、電話が鳴った。会社の同僚から。K−1のチケットがあるから見に行きま せんかと誘われる。御迷惑かけて済みません。1万円の席だ から、あまりよく見えないんですけど、お金はいいですから来ていただけたら。 あなた、いつものことながら腰が低すぎます。喜んで見に行きましたよ。初の K−1生観戦。
 しっかし、すごいわあ。駅前ではテキ屋さん達がバッタもんのK−1グッズ を売りさばき、後楽園のゲームセンターのガチャガチャもK−1キャラ一色。 会場内に入ると、彼曰く去年より客が減ったということだけど、9割5分くら い埋まっているし。K−1は招待券もそれほど出していないはずだから、プロ レスの10倍くらい人気があると思います。開演の5時前に入ったのだけど、 すでにリング上では何か試合をやっている。アンダーカードらしい。その後、K−1登場を決めた黒澤のエキシビジョン があり、ようやく開幕セレモニー。すごいよ! 生オケじゃん。金のかけ方が プロレスとは違う。第1試合。私でも名前を知っている前田憲作が登場し、派 手な跳び蹴りなど見せて、膝蹴りからヘミングにKO勝ち。


2回戦 サム・グレコ VS レイ・セフォー

ついに待ちかねたトーナメント開 始。1回戦を勝ち抜いてきた8人がスタンドにライトを浴びて立つ。1人1人 が紹介を受け、客の反応から判断するに、一番人気はやはり圧倒的にアーツ。K−1 が真剣勝負だとか、プロレスがナンだとか、そういうことは私 には関係がなく、どれもショーエンターテイメントとして観ているんですが、 その意味でもK−1は間違いなくトップクラスですね。ショーの進行が実に 洗練されているというか(ちょっと冗長な感じもありますが)。
 2回戦の第1試合は「野獣」のニックネームどおりけものじみた顔のグレコと、 やたら濃そうなセフォー。暑苦しい戦いです。筋肉の鎧を着た2人が対峙し、 ゴツゴツと殴り合う。WWFでも見ているような錯覚を覚えます。大会場でも のを言うのはやはりごつい体。これだけで第1試合の中量級の試合よりはるか に説得力を感じるんですよね。
 セフォーは不敵な態度がなかなか面白い。グレコのハイキックがセフォー の頭にバシバシ決まるのだが、セフォーは「効いてないよ」ポーズ。最後の方 では、単なるやせ我慢に見えたんですが。結局、最後までガンガン打ち合いな がら「効いてないよ」と言い続けたセフォーが判定負け。もう少しやればKO シーンが見られそうな気がして、3Rで判定勝負になるK−1ルールをちょっ ともの足りなく思ったり。ともかく、良い試合でした。もっと見たかった。


2回戦 ミルコ・フィリポヴィッチ VS 武蔵

デュラン・デュランだよ〜! ミルコの入場テーマ 曲は「Wild boys」。「Reflex」の後の今ひとつ パッとしなかった曲ね。しかし、ミルコ良い感じ。対して「燃えよドラゴン」 で登場した武蔵、どうにも勝てそうな気がしないんですが。
 試合開始早々から武蔵はクリンチ大好きの姿勢。あまりにも面白かったグレ コ VS セフォーの後だけに、なんかつまらない。クリンチのやりすぎでK −1の神様が怒ったんでしょうか。武蔵は相手の頭を力任せに抱き寄せたとこ ろ、これが結果的に頭突きのかたちとなり、自らがダウン。お笑いやってる場 合か。注意を取られたのはミルコだったが、再生された映像で見る限り、どう も武蔵が変。これで会場の空気はかなりミルコに傾いたよう。日本人として日 本人の武蔵を応援したいのだけど、何かいきなりこれでは、やる気なくすよね。
 さらにミルコは首投げをかます。これは明らかにミルコが悪かったものの、 これで頭を打ったとかで、武蔵は今日2度目の戦闘不能状態に。情けなさ過ぎ る。そんな弱くちゃ、プロレスラーにも転向できんぞ。再び注意を受けたミル コは警告1に。このまま警告の数で武蔵が勝ったら、会場の雰囲気はかなり悪 くなっていただろう。武蔵のスパートに期待する声があがる。しかし、発憤し たのはミルコの方だった。ミルコのパンチのラッシュに文字通り手も足も出な くなり、イヤイヤするばかりの武蔵にスタンディングKOが告げられる。とて も名前通りのベスト8として認めることのできない試合っぷり。
 興行的には日本人スターが必要ということで、むりやり家賃の高いところで やらされているのは気の毒だとは思う。しかし、それでもこの試合が海外で流 されることを考える時、恥ずかしいと思ってしまうのが正直な感想。そりゃ試 合だもの。負けても仕方がない。だけど、この情けなさはいったい何なのか?  佐竹だって強くはなかったが、ここまで呆れさせてくれることはそうはなかっ たはず。負けた人を責めるのも良いもんじゃないですが、ちょっといくらなんで も。


2回戦 アーネスト・ホースト VS アンディ・フグ

トップスター2人による2回戦。しかしながら、 ソツがないだけに印象の薄い試合となってしまったか。激しい打ち合いになる も、やはり、打ち負けることの多いフグ。踵落としも見せて、会場はわっと湧 いたものの、当たりは浅かったよう。大方の観客の見方通り、ホーストが判定 勝ち。試合後は、フグもそろそろという空気が会場に感じられました。


2回戦 ジェロム・レ・バンナ VS ピーター・アーツ

今日のベストマッチ。ため息の出るような筋肉を身 にまとって現れたレ・バンナ。ものすごく強そう。プロレスだってできるぞ。 入場前に会場に流れたビデオも「アーツ、KOしてやるから待ってろよ」とす ごくかっこいい。 対して、会場を揺るがすような声援で登場したアーツ。会場の空気はアーツが 勝って当たり前という感じ。実際、試合開始早々、例のハイキックがレ・バン ナの側頭部に入り、ダウンを奪う。9カウントでやっと立つ。見ている側とし ては、これでもういつアーツが決めてくれるかという空気だったのだが。
 さほどダメージを感じさせず、ラッシュに出たレ・バンナ。ロープに追いつ められたアーツはガードを固めるが、外側から大きく切り込んできたフ ックが顔面を捕らえると、ダウン。これで立てず、レ・バンナのKO勝ち。会 場は総立ち。大騒ぎ。ぞくぞくしますね。これがK−1の魅力なんでしょう。 アーツはちょっと余裕見せすぎていたような気がします。 (ムービー)


準決勝 ミルコ・フィリポヴィッチ VS サム・グレコ

ミルコ、最初からガンガン打ち合っていこうとい う姿勢。観客の立場としては、とても好感が持てる。これだけアグレッシブな 試合をする人も珍しいって言うか、クリンチ大好きな武蔵とはえらい違い。 ところが、試合開始早々グレコのキックがローブローに入り、試合が中断。再 生ビデオが会場に流れる。あらら、タマに入っちゃってるよ。以前、ベルナル ドがアーツに急所蹴られて、脂汗流してるシーンがあったけど、今回はそれほ どヘビーじゃなかったみたい。ミルコの回復を待って再開されたので、ほっと した。
 これで燃え上がったか、ミルコは怒濤のラッシュ。ローを受けたグレコは足 に来ている様子。一度はミルコの蹴り足をつかんだまま蹴りを見舞おうとした のも、焦りの現れのように見えた。ミルコのロー連発にサム・グレコ足から崩 れてKO負け。これも良い試合。 (ムービー)


準決勝 アーネスト・ホースト VS ジェロム・レ・バンナ

会場の雰囲気はアーツ戦の衝撃が脳裏に焼き付いて いるのか、レ・バンナ有利の空気。「ホーストびびってるんじゃないの?」と いう声も。実際、レ・バンナのラッシュにホーストはガードを固めて防戦一方。 ただ、レ・バンナの有効打はほとんどないように見えた。ホーストは2ラウンドか らラッシュ。棒立ちになったところ、頭にモロに数発食らったレ・バンナは崩 れ落ち、完璧なKO負け。この時の会場の盛り上がりようと言ったら! アー ツ戦、ホースト戦の2試合ですごく面白い試合を見せてくれたレ・バンナが今 日の私的MVP。


スーパーファイトNo.2 ステファン・レコ VS ハリー・ホーフト

休み時間。優勝が決まった瞬間みんなで第九を歌う とかで、練習をさせようとする主催者側。しかし、誰も歌おうとしない。ダメ だろ、この連帯感のない観客どもに何かをさせようたって。日本人って自分か ら他人に何かを与えようなんて考えない人達だから。僕はとりあえず歌っ たんだけどね。小声で。
 会場が暗転し、いよいよ決勝戦かと思いきや、今度は決勝戦まで の時間つなぎの試合。トーナメント1回戦で敗れたドイツのレコが登場。それ は良いとして、我慢ならないのがなんとレフェリー・島田裕 二! 何でこんなところに出てくるんだよ。格闘技界・プロレス界に巣くうダ ニめ。死ね! 死んでしまえ!(言い過ぎです)
 試合はレコがソバットのような蹴りでホーフトをKO。決勝戦を前に静まり 返っていた会場がちょっとだけ湧きました。


決勝戦 アーネスト・ホースト VS ミルコ・フィリポヴィッチ

ここでも仕掛けの早いミルコ。しかし、相手は百戦 錬磨のホースト。K−1での戦いになれていないミルコには危なっかしいなあ という感じ。手数では、ミルコが上回っており、胸元へのハイキックなど派手 な技まで見せたものの、ホーストのガードは堅い。パワーで押されたホースト がスリップダウンする場面もあったものの、徐々にホーストのローが効果を発 揮し始める。ガードを固めて動きを止めてしまったミルコの脇腹にパンチを1 発。ミルコ、脇腹を抑えたまま膝をついてダウン。1度は立ち上がり、会場は 嵐のような拍手の渦。しかし、もう1発腹に受けて、またもや膝をつき、KO 負け。ミルコの頑張りで素晴らしい決勝戦となりました。合唱団による第九が 会場に響く。12月だものね。
 K−1が面白いのは テレビで見て知っていたけど、初めて生で見たら、もうめちゃくちゃ面白かっ た。比べてはナンだが、これはプロレスを見ていては絶対に得られない種類の 興奮でしょうね。試合の感想など話しながら、同僚とラーメン食べて帰る。ま た見に来たいな。誰かチケットあまってないですか? 僕にタダでください。ダメ?


天気読み  WRESTLE